スタッフ日誌

2013年07月07日

創立15周年に寄せて その2

今日、MTN心のおしゃべり音楽工房は、創立から15周年の記念日を迎えました。
最初は、こんなにたくさんのこどもたちや、時には大人やご年配の方々までもが利用してくださるようになるとは思っていませんでした。

1998年7月7日にMTN世田谷対話音楽工房という名で上馬5丁目音楽室を開室した時は、そのまた前身である、当時はまだ二子玉川駅のすぐそばにあった、富士館会館内のカルチャースクールで開講していた「心のおしゃべり音楽室」にいらしていたこどもたちのうち、幼稚園に入園して午前中では富士館会館に来られなくなったこともだちが音楽する場所、という役割でした。
カルチャースクール内での「心のおしゃべり音楽室」は、まだ音楽療法士としては駆け出しだった私と、もう一人、旧姓 松本佳代子元音楽療法士とで、就園前のこどもたちに、音楽療法的なアプローチで音楽体験を広げてもらおうという目的で始めた講座なので、1歳半~ 3歳以下で、特に障がいはないけれど、ちょっと人見知りが激しいから、とか、ちょっと扱いにくいから、とか、ちょっと歩くのが遅いから、とか、ちょっとキレやすい気がするから、といった小さな不安を抱えたお母さま方が、考えようによっては早期英才教育にもなるかも、というお気持ちでお子さんを預けてくださることが多く、具体的に通常発達とは明らかに違う遅れが見られる、という方は極く稀でした。

ですから、上馬 5丁目音楽室を開室した時も、私のイメージとしては、音楽療法が本当に必要なハンディキャップのあるこどもたちのための場所にしたかったけれど、きっとそうなるには時間がかかるだろうな、と思っておりました。

でも、今は、発達障がいの疑いと言われました、というお子さんや自閉症スペクトラムのお子さん、先天的な重い神経疾患を抱えられたお子さん、虐めを受けているというお子さんなど、さまざまなお子さんから、自閉症スペクトラムに重い精神疾患を併発されているような大人の方々まで訪れてくださるようになりました。
そして、発達障がいが疑いで済んで無事音楽療法を卒業できたお子さんや、音楽で虐めや日常生活のストレスを克服できるくらいの強い自尊心や自負心を持てるようになったお子さん、順調な療育を経て不自由のないコミュニケーションができるようになったこどもたちが、そのコミュニケ―ション技能の発揮へのモチベーションの維持のために、あるいは、歌がさらに上手くなりたい、先生みたいにピアノが弾けるようになりたい、いろんな楽器で自分の好きな音楽を作って演奏したい、などの理由で、通ってくれています。

先ごろ、昔、富士館会館の最後の年の「心のおしゃべり音楽室」に来てくれていたあるお嬢さんのお母さまからご連絡をいただきました。
今、工房音楽室に通って来てくれている何人ものお子さんたちを同学で知っているし、つながりもあるんですよ、と。そして、そろそろ療育優先の生活ではなく、本人の楽しみのために大好きな音楽ができる生活に戻してあげたいと思って、とおっしゃいました。

そのお嬢さんはもう、中学校 3年生になっていました。
お会いできるのは来週以降ですが、まさに、 15年の歴史を飛び越えての再会です。
富士館会館で最後にお会いした時にはまだ、殆ど言葉が出ていなかったのですが、喃語は出ていたと記憶しています。今は、ちゃんと、出ているそうです (*^^)v!
もうまもなく、彼女に会えると思うと、当時一緒に彼女とセッションしていた恵津子先生とともに、懐かしくてたまらない気持ちになりました。

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あれから15年という月日が経ち、私と一緒に臨床に取り組みながら、日本音楽療法学会に音楽療法士としての資格を認定された音楽療法士は5人となり、今、6人目が頑張っています。
今いる 3名の20 代の音楽療法士たちには、私や恵津子先生の世代がもう今後経験できないかもしれない、これからの時代のための音楽の吸収が日々行われています。彼女たち自身が、多くの人と繋がり、ともに楽しむことのできる音楽が好きで好きでたまらない、という気持ちをこれからもずっとずっと維持して行ってくれるだろう、と思えることに、大きな安堵をおぼえつつ、私からの15周年記念日誌としたいと思います。

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