2021年01月08日
いよいよ昨夕刻より、東京は2回目の緊急事態宣言で1ヶ月の自粛が再開しました。今回は、市民それぞれが確立に向かって努力してきた「新しい生活様式」を守って、活動継続がある程度可能な自粛とはなりました。この1ヶ月で、再び感染拡大が少しでも収束方向へと向かうよう、協力していきたいと思います。
新型コロナウィルス感染拡大とその予防のための自粛などの影響は、第5期(2020年10月期)を終え、事業報告や決算報告で振り返ると、心のおしゃべり音楽工房にも想像以上に大きくのしかかっていました。
しかしながら、昨年は、たくさんの新たな支援者とも出会い、今後の心のおしゃべり音楽工房のあり方をしっかりと確かめることもできました。また、対面セッションにおける新型コロナ対策を日に日に強化してゆきながら、会えなくてもできる音楽療法事業についても、数々の模索と試行を行いました。
オンライン配信のための音楽室スタジオ化に始まり、新しい撮影・録音・編集の技術を、素人なりに工夫して覚えて実践していくことは、その中でも最も大きな新しい挑戦となりました。
先行きの見えない中、なかなか細かく更新できなかった2020年のスタッフ日誌を、まとめて振り返ってみたいと思います。
は、世田谷区三宿の国立音楽院5F リトミックワールドで、有志メンバー最小限の人数で実施されました。
そしてここで初めて、YouTubeのオンライン生配信を、Photographer 加藤誠さんのご協力で成功させることができました。
これまで、上馬5丁目音楽室で音楽療法を受けて育ったメンバーさん有志5人とそのお母様方による、メンバー目線での音楽療法DVD「おしゃべりおんぷ」が完成しました。
何らかの発達障がいをお持ちのお子さんたちには、自閉症に限らず、多かれ少なかれ自身の精神的な安定を守るための自閉性があるのですが、音楽療法を受けて育った人たちは、そうした自閉と、他者と安心してコミュニケーションを取ろうとすることのできる切り替えスイッチが発達しているのだな、ということが、この取材で改めて浮き彫りになったと感じています。ぜひ、一人でも多くの方々に見ていただきたいと考えております。
5年目を迎えて、より実態に合った定款をと、大掛かりな変更と再登記を行い、認証されました。今回は、第5条(事業の種類)にも手を入れました。これは、NPO法人にとってはとても大きな定款変更の一つです。
また、定款の変更に伴い、ホームページの改修にも着手しました。私たちの思いをもっと的確に伝え、広くご支援を募りやすくなるよう、これまで明確には行っていなかった正会員・賛助会員の募集、また、正会員の枠に捉われないセラピストメンバーやサポートメンバーの募集なども明記され、トップニュースがトップページにテロップで流れるようにするなど、工夫しました。
実態に合わせて、団体の紹介ツールを新しくしていくことは大切なことで、定款変更がその大元となりますが、各医療・福祉団体が備えている三つ折りパンフレットも持ち運びしやすく、大切なPRツールです。今回のリニューアルは主に修正が必要な箇所の変更に限られましたが、次は、セラピストの写真なども入れたいなと思っています。
4月の緊急事態宣言以降、私たちは、リモートセッションやオンライン配信など、IT技術を使って何ができるか、音楽療法を必要とする人たちにどうやって音楽で寄り添えるか、ということを考えました。
そして手始めに、これまでなかなか時間が取れなくて踏み切れなかった、即興ピアノのYouTubeチャンネルを作ってみました。
zoom,Syncroom,ATEM mini pro,集音マイク,背景布といったソフト・ハードを揃え始めたのはこの時期でした。そしてやがて、次の写真のような動画像が撮れるようになりました。
毎年、NPOへのご寄附をされていらっしゃるという明治安田生命保険相互会社様、今年は社の「地域ぐるみで未病・予防を!」という考え方を共に推進してくれるようなNPOを選びました、と、KooKへのご支援を決めてくださったそうです。
第5期は、他にも4社もの一般企業様からのご寄附を賜り、NPO法人として、民間からご期待を寄せていただけたことに身の引き締まる思いがいたしました。
明治安田生命保険相互会社様は、次の世田谷区音楽療法ライブでのご協賛社として、お名前を掲載させていただくことになっております。
ご支援、ありがとうございました!
個人事業からNPOという法人化を選択し、「音楽療法ライブ」という企画の事業化に取り組んだ道のり、そして今、音楽療法という枠組に留まらず、「音楽すること」をインクルーシヴ教育や自己治療の観点から「ミュージッキング」へと拡大し、コミュニティ音楽というソーシャル・ビジネスの仲間入りを目指そうとしていることなどをまとめました。
音楽療法を、病院や施設の中でだけではなく、町にコミュニティを創造して広げていきたい、というMTKooKの思いは、論文で取り上げられた「ミュージッキング」という考え方へと変化し始めました。
「ミュージッキング」とは、「Musicking」と記し、クリストファー・スモールの同名の著書によれば、「音楽する行為」と訳され、演奏する人や作曲する人、観客のように聴く人だけではなく、音楽に関わるすべての人々の行為(セッティングも解体もお手伝いも清掃も撤去・運搬もなにもかも)を包摂した造語だそうです。「音楽する行為」とは、みんなが参加している一連の音楽「イベント」におけるソーシャル・ワークの集合体であるというのです。
DVDでご紹介している「インクルーシブ教育」の新しいメソッドとしても、はたまた自身の心身の美意識と健康寿命を保つための自己治療メソッドとしても、そして、人と人とが言葉に頼らず、「思い」や「心」で繋がることで自然な助け合いが生まれるような新しいコミュニティの育成のためにも、さらに、そうした人々のミュージキング・コミュニティの中での「育児」への期待からも、今後のMTKooKの非営利活動へのモチベーションとなることでしょう。
昨年来、同じ地域でともに音楽療法の推進を目指す団体同士として、国立音楽院さんとの連携を話し合って来ましたが、まずは実習生を受け入れましょう、とお約束した矢先の新型コロナウィルス感染拡大、半年経って、一部施設でようやく、実習生の受け入れを開始することができました。
実習生の田中明莉さんは通信制の高等学校に通いながら音楽療法を学んでいる17歳。とても分析的で、学んだことをどんどん言語化していくとても研究熱心な方です。明莉さんから、コメントをいただきました。
「こんにちは。実習生の田中明莉と申します。こちらの施設では10月中旬頃から実習をさせてもらっています。開始から2ヶ月経ちましたが、とても多くのことを学ばせてもらっています。実践的授業でも知ることが出来ない対応能力や、楽器での関わり方、セッション後の記録の取り方等、日々体験しながら記憶し、自分のスキルを身につけていっています。又、先生が時々言う、ちょっとした『名言』がとてもためになっており、自分が目指している療法士の像創りの参考にしていきたいと考えています。
今後の実習も一生懸命に、素直に謙虚に、そして楽しくしていきたいと考えています。
最後に、こんなご時世の中、実習を受け入れて下さったこの施設には、感謝しかありません。また、今後がどうなるかわからないですが、平和で穏やかな日々が一日でも早くおくれる事を願います。」(無修正・原文のまま)
筆者が東京で初めて臨床を開始した世田谷区立三宿つくしんぼホームさんも、今年は新型コロナの影響で、毎年欠かさず続けて来た地域へのオープン・ホームのお祭り「つくしんぼフェスタ」を開催できなくなり、せめて利用者さんたちには今年もハロウィンを楽しんでもらいたい、とスタッフ総出でKooKとともに、こんな素敵なコンサートを開催してくださいました。利用者さんたちの笑顔のためにいつも全力で取り組む若いスタッフさんたちの応援ができて、これほど嬉しいことはありません。
私たちセラピストも仮装して演奏に参加。この模様は、2021年につくしんぼホームさんからYouTubeで配信される予定です。お楽しみに!
障がい者の方々が、生まれ育った地域で、できるだけ自由に暮らしていけるよう、障がい者と障がい者のためのさまざまな社会資源を取材し掲載して応援しているというフリーペーパーの月刊メルディア(発行元:一般社団法人メルディア 編集:株式会社サン・オフィス)さんから取材のお申し込みをいただきました。月刊メルディアさんは、今年リニューアルしたKooKの三つ折りパンフレットが人伝に渡って、心のおしゃべり音楽工房にたどり着いてくださったのだそうです。
俳優の布施博さんからzoomインタビューを受け、たくさんお話を聴いていただきました。
この雑誌はフリーペーパーで、福祉施設や障がい者のご自宅に直接、無料で配布されているそうです。
▼お問い合わせはこちらから▼ 一般財団法人 メルディア TEL:03-5381-3213 MAIL:org@gf-meldia.com
ごらんになったお母様から、「いつも子どもの後ろから見ているセッションを、前から見られて、ああこんな表情してやってたんだと、新鮮でした」とご感想をいただきました。
この方法があれば、かつてはミラーガラス越しの参加観察だったお母様方も、おうちやカフェで参観できるようになりますね!
金井風花です。2020年は、日本中、世界中の人たちが新型コロナウイルスの影響を受け、本当に大変な一年でしたね。私たちの活動も、4・5月は施設も音楽室も、ほぼ全てのセッションをストップしておりました。
自粛自粛で我慢の期間が続き、寂しく不安な気持ちになった方もたくさんおられるのではないかと思います。
この期間はセラピストである私自身も気が滅入ってしまうことがあり、いかに普段、利用者さんたちと一緒に音楽できる時間が心の支えになっていたかを痛感しました。
しかし不幸中の幸いと言いますか、このコロナ禍がきっかけで、オンラインセッションの実施も進めていくことができました。
音質を保つため、より良い映像にしていくため、色々な機材やアプリの使い方を覚えました。双方向のオンラインセッションでは、音が乱れてしまったり、音量バランスの悪さやハウリングの原因を突き止めるのに時間がかかったりと大変な面もありましたが、音楽療法の可能性がさらに広がったと感じました。今後ももっと勉強していけたらと思います。
6月からは感染対策を試行錯誤しつつ、徐々に対面セッションを再開していきました。
私たちの行う対策として、メインセラピストが演奏するピアノの周りにはビニールのパーテーションを設置し、コセラピストは、利用者さんのそばで歌っても飛沫が飛びにくくなるよう、フェイスシールドと透明マスクを着用する、という方法に落ち着きました。
施設ではできる限り感染のリスクを下げられるよう、職員の皆さまが利用者さんの編成や座席の位置、他様々な対策を考えてくださり、無事に今年のセッションをやり切ることができました。
久しぶりに対面で行える音楽療法の時間は、利用者さんたちの笑顔がとても輝いていましたし、解放感溢れる素敵な表情もたくさん伺えました。
緊急事態宣言が出された頃はなかなか大きな声で歌えず、大人数で集まって踊ったり合奏したりする機会がなかった状況でしたが、その後上記のような対策を取った上で、無事に対面でのセッションを行ってみて、やはり彼ら彼女らは音楽を求めていたんだな、音楽を通じて自分を解放できる時間はとても貴重なものなんだなと改めて感じました。
そんな利用者さんたちの姿から、私たちセラピストもたくさんの元気をもらっていて、本当にセラピスト冥利に尽きる喜びだと思います。
利用者の皆さんには、本当にいつもたくさんの笑顔と元気をありがとうと伝えたいです。
また、このような状況下で少しづつでもセッションを再開できているのは、ひとえに保護者の皆さま、施設の職員の皆さまの多大なご協力のお陰です。いつもたくさんのご協力をいただき、本当にありがとうございます。この場をお借りして御礼申し上げます。
心のおしゃべり音楽工房は、まずは新型コロナウィルス感染拡大が落ち着き、重症化リスクのある方々に安全で有効なワクチンの投与が行き渡り次第、いよいよ拠点を移してコミュニティ音楽事業を拡大していきたいと思っています。
そして、障がいの有無も老若男女の別もなく、赤ちゃんからお年寄りまで、一人でも多くの音楽したい人たちの自主的な健康維持の力になりたいと願っています。
ボランティアさんの募集も開始しました。一人でも多くの地域の音楽愛好家のお力を得て、みなさまが願う「心のおしゃべり音楽工房」のあり方へとお導きください。
続ける! 1日も早く「集って歌える日常」が戻って来るよう、対策努力を続けます。
目指す! 誰もがミュージッキングに参加できる新しい拠点作りを目指します。
変える! ミュージッキングで皆さんの町を、より信じられる共感と支え合いが行き届くコミュニティに変えていきましょう。
今年はオンライン開催です!
日時:2021(令和3)年1月17日(日) 14:00から
場所:上馬5丁目音楽室よりzoom配信
お一人でも多くの正会員さんのご参加をお待ちしております!
正会員 36名(正会員のご家族も正会員ですので、総勢約80名以上)
賛助会員 社会貢献会員(個人) 2名
チャリティー会員(団体) 2団体
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